先生のお宅にハンカチの木があります。果実が欲しいとの依頼を受けて、拾いに行って来ました。
左中央がハンカチノキです。ハンカチノキは、中国(四川、雲南)原産で、花の周りに白い花弁のような苞をつけます。花期は見逃しましたが、果実の数からするとかなり花付の良い樹木のようです。
まだ樹上に残っていますが、多くは落下していました。
幹とひこばえの樹皮を撮ってみました。
ひこばえの冬芽です。
果実と昨年のものと思われる種子です。果皮を見ると、ヤマナシの果実に似ています。でも、種子は大きなものが一つだけなので、バラ科ナシ属とは違いますね。この果実は、複数の花から出来た複数の果実がくっついて一つの果実の様になったもので、複合果と呼ばれているそうです。ヌマミズキ科ハンカチノキ属ハンカチノキ(Davidia involucrata Baill.)。エングラー分類体系では、ハンカチノキ科となっています。
2~3個撒いてみようと思っていますが、無事発芽してもハンカチのような苞をつけるまで10年ほどかかるそうです。
倉庫の片付けをしながら、久々に腐生ランの栽培容器を覗いて見ました。ハルザキヤツシロランの常温栽培容器から・・。
部材の間から蕾が姿を現していました。
この容器では、二つの蕾が確認出来ました。そして、パネルヒーターで加温している容器では・・。
もっと伸びた花茎がありました。常温容器は静岡県中部産で、加温している容器は関西方面産のハルザキヤツシロランです。
この二つの容器内のハルザキヤツシロランは、今迄のような実生から育てたものではありません。根状器官が切り取られた塊茎を、研究者が送ってくれたものです。塊茎からの栽培は初めてなので、枯れてしまうかと思っていたのですが、約9か月後に蕾を確認する事が出来ました。実生栽培では、栽培床に自生地の部材を混ぜて使いましたが、今回の部材は全て家の近くのスダジイ林下のものを使いました。しかも片方は常温で行いましたので、同じ実生床で発芽実験をしてみようと思います。上手く発芽したら、家の近くのスダジイ林下に播種すれば、発芽・生育するかもしれません。
ついでに・・。ヒメヤツシロランの容器を覗いて見ました。
彼方此方に伸びていた根状器官の大半は、役目を終え枯れていましたが、一部写真のような疣状器官が確認出来ました。共生菌から養分を得ていた証です。こちらは、家の近くのササを刻んで栽培床を作っています。
ムサシアブミの果実が熟したので、採取して来ました。
11月24日の様子です。まだ少し緑がかっていました。
12月6日の様子です。果実が赤く熟し花茎が折れていたので、採取して来ました。
長さは違いますが、コンニャクに似ています。目の覚める様な色ですね。この場所には、複数本のムサシアブミが生育しています。ムサシアブミは雌雄異株です。しかも、他のテンナンショウ属と同じく、栄養状態によって性別が変わります。昨年は、一つも果実が生らなかったので、雄株ばかりだったのかもしれません。
造成中の植物園には、テンナンショウ属も植栽予定です。基本的には、種子繁殖によって得られた苗を育て植栽するつもりです。ただ、開花株に育つまで何年かかるのか分かりませんが・・。試験的に、昨年秋に別のテンナンショウ属の種を蒔き、数株の苗を得る事が出来ました。こちらも、栽培経験は無いので試行錯誤して行くしかありません。
富士山こどもの国のサワトラノオの様子です。高度1,000m近い場所では、予期せぬことがいろいろ起こります。
昨年秋に植えた株です。無事冬を越し水中で生き続けています。写真では分からないと思いますが、氷が張っていました。
こちらは、夏頃植えた株です。今のところ大半は無事ですが、下段の左隅にシモバシラによって持ち上げられ根が露出した個体が見えています。
こちらは、今秋に植えた苗です。氷の中にいるものは無事なようですが、水の無いところは下段のように根が露出していました。
今迄の栽培実験で、この植物は水中で生育する事を確認しています。また、寒さにも強く氷の中に埋まっても枯れません。この地での冬越しは、霜柱で浮き上がる事の無い水中で栽培するのが良いと思っています。出来ればもっと水深のある所の方が安心ですが、この湿地(池)の構造上少し難しいのが悩みの種です。何とか根付かせるために試行錯誤して行くつもりです。
日曜日は、「富士山こどもの国」でタムラソウの苗の植付などを行って来ました。曇天模様の寒い日でしたが、汗をかき腰が痛くなりました。
我が家の圃場ではまだ緑の葉ですが、標高の高いこの場所ではこんな状態になっています。先輩が実生発芽させた苗で、120個体もありました。山野では比較的丈の低いものを見かけますが、栽培すると2mを軽く超すような草丈になる事もあります。
花の谷湿地エリアの様子です。この左手の草原エリアに植え付けました。自生種もいろいろ生育していますが、来園者に楽しんでもらえるように、静岡県東部に生育する種の(実生苗の)植栽もしています。後ろに見えるのは、愛鷹山系の越前岳などです。不法投棄監視パトロールで、中腹に延びる林道愛鷹線を走行するのも楽しみです(ゲートがあるため、一般車両は進入できません)。次の記事では、湿地エリアに植栽したサワトラノオの様子を掲載します。
ある植物の調査で、県外某所に行きました。そこで見たカエデ属の紅葉を撮ってみました。
ムコロジ科カエデ属の紅葉は、光を透かして(透過光で)見るのが一番です。
この場所では、みんな赤く染まっていました。
ズームすると、葉縁が重鋸歯になっているのが分かります。イロハモミジ(別名:タカオカエデ,イロハカエデ,タカオモミジ,チョウセンヤマモミジ)のようです。
穎果(えいか)を飛ばし始めたススキの穂が、季節の終わりを告げていました。調査目的の植物名?それは秘密です。