今日は雨・・庫内の片付けなどをしました。先日、ハルザキヤツシロランの蕾が横を向いていたので、そろそろ開花する頃だろうと思い覗いて見ました。
咲いていました!小さなプラケースの容器なので、思ったように撮れません。

今回、3個体が花を咲かせました。何れも実生からではなく、研究で使った塊茎を送ってもらい、培地に植えこんだものです。初めて塊茎の移植による(塊茎から育てての)開花です。塊茎を複数年維持するには、共生菌の餌になる部材の適時補給が必要になり、ずぼらな私にとってはそれもまた難しい挑戦になると思います。
腐生ランの実生栽培実験容器を覗いて見ました。
スダジイ林下の部材で、腐朽菌を繁殖させています。
あれっ、根状器官が4本伸びている。
こちらは、5本だ!実は、この容器には南国のある腐生ランの種子を蒔きました。約1ヶ月で発芽すると聞いたのですが、全然変化がありませんでした。通常は、パネルヒーターで少し加温しますが、この時は考えがあって常温としました。多様な共生菌に対応するとありましたが、変化がない事から種子寿命が尽きたのだろうと思いました。折角準備した実生床なので、その後近くの林に生育するクロヤツシロランの種子を蒔きました。白っぽい粉のようなものが、クロヤツシロランの種子で、少しだけプロトコームが確認出来ます。
こちらが、以前栽培したクロヤツシロランの根状器官です。塊茎から2本伸びています。今迄の実生栽培経験からも、4~5本の根状器官を伸ばしている塊茎がクロヤツシロランだとは思えません。もしかしたら、まだ見ぬ南国の腐生ラン?
光合成をせず、100%菌類に栄養依存して生活している植物は、菌従属栄養植物と呼ばれていますが、敢えて聞きなれた呼称を使っています。
保全区への草本植付、ビオトープ周りの草刈りなどを行って来ました。
刈ったばかりなのに、信じられないくらいのスピードで伸びて来ます。
昨年、実生1・2年目のタコノアシやヌマトラノオを植えました。地下茎で栄養繁殖する植物なので、環境が合えばこうなるだろうとの予想通り、沢山の芽が伸びていました。この勢いだと、増殖抑制が必要になるかもしれません。
左は、ミツガシワです。長く伸びた根を切って水中に沈めたところから、このように沢山の葉が姿を現しました。カンアオイ属と同じように、根伏せでも増殖できる事を知りました。
サクラソウは、同じ時期に植えたものでも、日照や土壌湿度などの僅かな違いで、生育状況にかなり差が出るようです。
昨年から、実生栽培にも挑戦しています。ビオトープ脇の植栽エリア一面に、この花が咲く事を目標に試行錯誤して行くつもりです。
マメザクラ(フジザクラ)の花が散り、枝が葉で覆われた頃、八重咲のマメザクラがポツポツ咲き出します。昨年先生から頂いた、八重咲マメザクラの花を撮ってみました。
こちらが蕾です。
花弁の数が多く、萼を覆い隠すように咲きます。花弁数は20枚~400枚位まで変化するそうです。
マメザクラはほぼ一斉に咲きますが、このサクラは花数が少なくポツポツ咲きます。バラ科サクラ属フジキクザクラ(Cerasus incisa (Thunb.) Loisel. var. incisa f. chrysantha H.Ohba)(synonym:Prunus incisa Thunb. f. plenissima S.Watan.)。
Type: Shizuoka, Fujinomiya City, Shiraito, Saori, Mt. Tenshigatake, alt. ca. 750 m; transplanted and . in Fujinomiya City, Taisekiji Temple (S.Watanabe, 22 Apr. 1979, TNS-379823).このサクラは、天子ヶ岳で発見され、富士宮市在住の渡邊定元先生により記載されました。そして、大石寺へ移植され、お上人様によりフジキクザクラと名付けられました。
師匠に教えていただき、クロヤツシロランの実生栽培実験を始めたのは2014年の秋でした。その翌年、運良く花を見る事が出来ました。その後、アキザキヤツシロラン、ハルザキヤツシロランに挑戦し、いずれも開花に至る事が出来ました。それは全て種子を蒔いての実験でしたが、昨年研究者から根状器官の切り取られた塊茎が送られて来ました。塊茎からの栽培経験はありませんでしたが、ダメ元で挑戦してみる事にしました。昨年12月に容器を覗くと、何と3本の花茎の先端が確認出来ました。
左は県外産、右は静岡県産です。
こちらは同じ蕾で、静岡県産です。光を遮断した容器なので、山野では濃褐色になる花茎が半透明です。実は、別容器でもう一つ花茎の伸びてきた個体がありました。蕾が膨らみ横を向き始めた頃、首元から落下してしまいました。こちらの容器は、加温してあったため成長も早かったのですが、残念でなりません。
自生地で撮ったハルザキヤツシロランの花です。オレンジ色の袈裟を纏ったお坊さんに見えます。
以前の記事にも書きましたが、ヤツシロラン類などの菌従属栄養植物は、光合成をせず100%菌類に栄養依存して生活しています。しかも、種ごとに栄養依存する菌類が限られています。山野から塊茎を採取して来ても、識者の指導が無ければ育てる事は極めて難しいと思った方が良いです。図鑑などにも「栽培不可」と書かれています。
昨年、初めてサクラソウの種を蒔きました。採取したばかりの種と、先輩から頂いた種です。採取したばかりの種は、無事発芽して・・。
今日現在で、ここまで成長しました。良く見ると蕾がついています。ところが、先輩から頂いた種は、殆ど発芽しませんでした。
そして、今春になって沢山の子葉(双葉)が姿を現しました。中には、本葉の出ているものもあります。その特徴から、サクラソウである事が分かります。
発芽した小苗を無駄なく育てるには、移植が大切である事をここ数年の経験で学びました。
こちらは、植物園のビオトープ脇に植えたサクラソウです(スマホでの撮影は、どうも苦手です)。昨年、先輩から沢山のポット植えを頂いたもので、一部花の咲き始めたものもあります。
先輩から頂いたサクラソウの種子が、同じ時期に蒔いても殆ど発芽しなかったのはどうしてだろう?当初は、種子の寿命を考えました。ところが、翌春このように沢山発芽したのは、乾燥により発芽抑制されていたからではないでしょうか?播種の翌々年に発芽するベニバナヤマシャクヤクなどもそうですが、種子発芽一つとってみても植物は不思議の塊です。
カワヅザクラの木が葉で覆われる頃、シンボルツリーの八重枝垂桜が見頃になります。
父親が細い苗木を植えてから何年経ったことでしょう。こんなに大きくなるとは、思いもしませんでした。
数えきれないほど沢山の花をつけていて、とても見事です。
このサクラの次には、先生から頂いた八重咲のマメザクラ・・フジキクザクラが咲き出します。そちらは、一気に咲かずポツポツ咲きます。それはまたの機会に・・。
花が散った後や落葉時期には掃除が大変です。毛虫も集るし、野鳥がやって来てフンを落とすし、手間のかかる事ばかりです。でも、満開の花を見るとそんな事は忘れさせてくれます。昨日は、義母の家に行って、庭木の剪定をして来ました。狭いスペースいっぱいにプランターが並び、セイヨウサクラソウやシクラメン、パンジーなど様々な花が咲いていました。庭の花たちは、一人住まいの義母にとって大切な話し相手になっていると思います。
植物園のお手伝いをするようになって、いろいろな植物の種子繁殖に挑戦しています。今まで見る事の無かった子葉の姿や、その後の成長を見守るのは新しい発見があって楽しいものです。
こちらは発泡スチロールの実生床です。ここには、種を限定しないで蒔いています。一番大きな葉は、飛来した種子が発芽したタムラソウです。除草し遅れました。右側の単子葉植物は、ユウスゲです。朱色の粒は、オモトだと思います。
沢山出ている子葉(双葉)はサクラソウかな?右は初めて播種したショウジョウバカマです。
こちらは、実生2年目のバアソブと、1年目のジイソブです。成長するとどちらも似通っていますが、姿を現したばかりの頃は毛の多さで区別出来ます。
実生2年目のナガバマムシグサです。初めて蒔いたテンナンショウ属です。こちらは、6個体植物園保全区に移植しました。
実生2年目のサクラソウです。発芽したばかりの苗は、葉が丸みを帯びていてとても可愛いです。
植物栽培の難しさを、少しずつ学んでいます。沢山発芽してくれたとしても、そのまま放置しておくとあっという間に姿を消してしまいます。開花に至るまで成長させるには、移植とその後の管理が大切な事を知りました。
先生のお宅に咲いていた雪割草を撮ってみました。その一部を掲載します。
細長い一重タイプ。花弁のように見えるのは萼片です。
幅広の一重タイプ。上の花は、オシベやメシベの形態が違います。
八重咲タイプ。下の花はオシベやメシベが見えません。退化してしまったのだろうか?
濃紫色の八重咲タイプ。
ピンボケしてしまいましたが、こちらの花は花柱の先端が濃紅色をしています。萼片の色や形だけでなく、オシベやメシベの色形も様々です。
標準和名のユキワリソウは、サクラソウ科サクラソウ属の一種で、掲載した花はキンポウゲ科ミスミソウ属の花です。植物に目を向け始めたばかりの頃は、そんな事は知らずミスミソウ属のミスミソウやスハマソウをまとめて雪割草と呼んでいました。地域で見るミスミソウやスハマソウは、稀に薄く色づいた花を見る事もありますが、一般的には白色です。